「兵庫経協」2022新年号

兵庫経協 兵庫県経営者協会 PREFECTURAL EMPLOYERS´ ASSOCIATION HYOGO N o. 3 8 4 2022 Winter

新 年 の ご 挨 拶 皆さま幸多き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。 2019年12月にコロナウィルスが発生してから2年以上が経過しましたが、様々な分野で多くの 方々の努力と情熱により、我々は少しずつ日常を取り戻しつつあります。油断は禁物ではありま すが、コロナ克服に向かっての手ごたえを感じます。 さて、日本経済を展望しますと、世界に比べて大きく遅れているデジタル化を推進するとともに、 DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用により、新しい価値を創造することが急務に なっています。また、社会面でも、誰もがニューノーマルを実感する時代が訪れつつあります。 皆さまもすでに日常の中でデジタル化のうねりを感じておられるのではないでしょうか。それが、 IT関連企業のCMを見ない日はないことなどに顕著に表れているように思えます。 今後の日本にとっては、困難な課題が山積していますが、失敗を恐れず、新たな課題に積極的 にチャレンジしていくことが求められています。 昨年11月に発足した第2次岸田内閣の基本方針では、「新しい資本主義の実現」の中で「デジタ ル田園都市国家構想の具体化による地方活性化」が挙げられています。企業にとっては、この構 想によって、テレワーク等で何処ででも、何時でも仕事ができる新しい働き方が加速され、働き 手に時間的ゆとりやエンゲージメントの向上がもたらされ、生産性の向上にも繋がると考えられ ます。このことは曳いては、大都市一極集中からの解放や地方活性化の大きな足掛かりとなるの ではないでしょうか。 一方、我が国では30年間、平均賃金が上がっていないと云われ、OECD加盟国の中でも賃金水 準は下位となっています。雇用を最優先したことや有期雇用等の増加が一因であるとも考えられ ますが、これは働き手の立場からは看過できない問題です。賃金は、当然、企業個々の支払い能 力の原則に則りながら、労使の話し合いの下で決定すべきものですが、現在の賃金アップのモー メンタムを維持し、改善に努めていくことは必要であると考えています。 加えて、現在の企業経営は、経団連が提唱するSociety 5.0 for SDGsやESG(環境、社会、ガバ ナンス)の視点を取り込まなければならないなど、大変難しい舵取りを迫られています。難しい 課題ではありますが、ダイバーシティや気候変動への配慮ができる企業は人材確保の上でも大き な強みを持つことができることも事実です。 このように我々には超えるべき課題が山積していますが、会員の皆さまと共にスピード感を もってチャレンジし続けたいと考えていますので、本年もどうぞご支援を賜りますようお願い申 し上げます。 末筆になりましたが、会員の皆さまとご家族のご健勝を祈念し、新年のご挨拶と致します。 新年のご挨拶 兵庫県経営者協会 会長 三 原 修 二

新 年 の ご 挨 拶 昨年6月1日に会長に就任してから半年が過ぎた。この間、最優先してコロナ禍の克服と社会経 済活動の活性化の両立を実践した。並行して、中西さんが提唱したSociety 5.0 for SDGs、サステ イナブルな資本主義といった路線を継承しつつ、市場経済の中に社会性の視点(from the social point of view)を入れることで、これまでの路線をさらに発展させるべくスピード感をもって取 り組んだ。 経団連が掲げる「サステイナブルな資本主義」は、岸田総理が目指す「新しい資本主義」と軌を 一にするものである。岸田総理は、昨年10月の政権発足以来、「新しい資本主義の実現」に力を注 ぐことを表明してこられた。柱となるコンセプトは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新し い社会の開拓」である。総理を議長とする「新しい資本主義実現会議」では私から、分配は成長 とセットで議論すべきでありまずは成長が重要であることを強調した。そのために取り組むべき 課題は、コロナで問題となった我が国の危機管理能力の向上など社会的共通資本の構築であり、 こうした課題は市場経済だけでは解決できないため、政府の役割が重要になることを指摘した。 また、新しい資本主義の実現には、サステイナブルな地球環境が欠かせないことから、デジタル トランスフォーメーション(DX)と並んで、グリーントランスフォーメーション(GX)についても、 政府全体で議論していく必要があることを繰り返し訴えている。 GX、DXに加えて、スタートアップ振興、規制改革、地方創生、働き方の変革と人材の育成、 国際社会との連携・協調、財政健全化と持続可能な全世代型社会保障改革など、内外の重要政策 課題を強力に推進することが急務である。 企業こそが成長と分配の担い手であるという覚悟と気概を持って、経団連は、2022年も岸田内 閣と力を合わせ、コロナ禍の克服とサステイナブルな資本主義による持続可能で豊かな未来社会 の確立に向けて、全力で取り組んでいく所存である。皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い 申しあげる。 以 上 一般社団法人 日本経済団体連合会 会長 十 倉 雅 和 サステイナブルな資本主義で 持続可能な未来社会の確立を ~経団連会長新年メッセージ~ 1 兵庫経協 2022年新年号

新 年 の ご 挨 拶 新年あけましておめでとうございます。 昨年も新型コロナが私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしましたが、県民・事業者・医療関係 者の皆さんのご協力により、第5波を乗り越えることができました。 しかし、感染再拡大のリスクは続きます。マスク着用、手洗い、「密」の回避など基本的な感染 対策の徹底を引き続きお願いします。県としても、保健所や医療提供体制の強化、3回目のワクチン 接種の推進など、対策に万全を期します。 同時に、「ワクチン・検査パッケージ」等も活用しながら、飲食、旅行、イベントなど、社会経 済活動との両立も図っていきます。 さらに、今年はポストコロナ時代を見据えた取組を本格的に検討・推進する年とします。 その1つは、時代の潮流であるデジタル化やグリーン化の加速。デジタル技術を、働き方、教育、 医療・介護、地場産業や農業など様々な分野で取り入れるとともに、再生可能エネルギーの導入 拡大や水素の利活用などの地球温暖化対策に力を入れます。 また、少子高齢・人口減少社会への対応や、頻発化・激甚化する自然災害への備え、交流と 日常生活を支える道路ネットワークの整備など、すべての県民の皆様が安心して、育ち、働き、 暮らし続けられる、だれも取り残さない兵庫づくりを進めます。 大きなポテンシャルを持つベイエリアの活性化にも本腰を入れます。2025年大阪・関西万博 は、兵庫に人・モノ・投資を呼び込む大きなチャンスです。更なる発展の起爆剤とすべく、ベイエ リアプロジェクトの起動、万博の来場者を県内各地へ誘うフィールドパビリオンの具体化など、 新たなチャレンジをしていきます。 もとより、こうした取組は行政だけでできるものではありません。民間との連携をこれまで以 上に広げていきます。また、私自身が県内各地で地域の皆さんと対話を重ね、地域の課題やニー ズを新たな施策に繋げていく県民ボトムアップ型県政を推進します。 「躍動する兵庫」の実現に向け、飛躍の一年としていく決意です。 皆さんのご理解、ご支援をお願いします。 兵庫県知事 躍動する兵庫、 コロナを乗り越え未来へ 2 兵庫経協 2022年新年号

新 年 の ご 挨 拶 新しい年を迎えるにあたり謹んでご挨拶を申し上げます。 兵庫県経営者協会の皆様には、日ごろから市政に対し格別のご理解とご協力を賜り、心より感 謝申し上げます。 昨年秋の市長選挙におきまして、市民のみなさまからご信任を賜り、3期目の市政を担わせて いただくこととなりました。私に課せられた責任の重さを常に胸に抱きながら、市民のみなさま からの期待にお応えできるよう、全力を尽くしていく所存です。 新型コロナウイルス感染症については、医療従事者のみなさまをはじめ、多くの事業者や市民 のみなさまのご協力をいただき、この未曽有の危機に対処してきました。今後の感染再拡大に備 えるために、医療提供体制とPCR検査体制の確保に努め、3回目のワクチン接種を安全かつ迅速 に進めるとともに、コロナ禍で大きな影響を受けた市民や事業者に対するきめ細かな支援を展開 するなど、引き続き、市民の命と健康を守り、神戸経済を回復させることに全力で取り組みます。 神戸のまちづくりについても、ウイルスの出現前からの課題である超高齢社会、東京一極集中 はもちろん、とりわけ人口減少への対応に、強い決意と覚悟をもって取り組みます。都心・ウォー ターフロントの再整備を着実に進め、拠点駅のリノベーションを行うことによって、バランスの とれたまちづくりを進めていきます。同時に、神戸が持つ豊かな自然環境を活かし、六甲山上ス マートシティ構想や里山の保全・活用を進め、若い世代が集い、住まい、働き、多様な活動が展 開されるまちをめざします。また、子育てや教育、孤独・孤立など各種施策の充実を図るとともに、 世代を超えて市民がお互いに助け合う、人にやさしい地域社会の構築にも努めます。 神戸は、戦災や災害、阪神・淡路大震災など、幾多の困難を市民の力で乗り越えてきたまちです。 これからも国内外に貢献し、市民が誇りをもつ神戸であり続けるために、『海と山が育むグローバ ル貢献都市』の実現に向けて取り組んでいきます。 みなさまには引き続き、神戸市政に対し、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。 末筆ではありますが、本年がみなさまにとって、すばらしい一年となりますことをお祈りいた します。 神戸市長 新年に寄せて 3 兵庫経協 2022年新年号

新 年 の ご 挨 拶 明けましておめでとうございます。 本年が希望に満ちた一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。 新型コロナウイルス感染症が全世界で広がり約二年。この間、社会経済活動は大きく制限さ れてきました。秋口に少し落ち着きを見せた一方、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライ チェーンの混乱等の問題にも直面しています。今後、感染防止と経済正常化を両立すると同時に、 環境変化に耐えうる持続可能な社会形成が求められる中、神戸商工会議所では次の三つを重視 し、事業活動を進めて参ります。 一つ目は、「事業継続・発展に向けた支援」です。 商工会議所はコロナ禍の中、地元中小企業の事業継続を支援すべく、各種支援業務に全力を尽 くして参りましたが、今後、事業承継・引継ぎ支援センター等ともより緊密に連携し、事業の継 続・再生・承継を総合的にサポートして参ります。また越境ECなどオンラインを活用した国内外 への販路拡大支援にも注力し、売上回復に繋げていきます。 二つ目は、「ビジネス変革の促進」です。 環境変化をチャンスと捉え、ビジネス変革に繋げていくことが期待されており、その一つが DXです。現在、当商工会議所ではDX導入支援に力を入れており、情報提供のほか各企業の本格 的な実践に繋がるよう伴走型の支援にも注力しています。また新たなチャレンジに臨む企業に対 し、スタートアップとの協業等、多様な企業間アライアンスの機会提供にも取り組んで参ります。 三つ目は、「交流再開、都市基盤整備の推進」です。 昨年はウォーターフロントの再開発が大きく進みました。こうした都市が変貌するダイナミズ ムを内外に力強く発信していくことが求められます。 同時に、国際交流の復活に向けた準備も着実に進める必要があり、今後、神戸が真の意味での 国際交流のゲートウェイとなるためには、神戸空港の国際化を進め、加えて都心部との南北アク セスの抜本強化をはかることが重要です。2025年の大阪・関西万博を当面の大きなゴールとしな がら、兵庫県や神戸市とより緊密に連携し、新たな産業集積や地域経済の発展に繋がるよう尽く して参ります。 本年は厳冬を越えて芽吹き、新しい成長に繋がる壬寅の年です。 神戸商工会議所はオール神戸、フォア・ザ神戸の精神でパンデミックを乗り越え、街と企業を 次世代へ繋いでいけるよう総力を挙げて取り組んでいく所存でございますので、本年も引き続き お力添えを賜りますようお願い申し上げます。 神戸商工会議所 会頭 家 次 恒 パンデミックを乗り越え 神戸の街と企業を次世代へ繋ぐ 4 兵庫経協 2022年新年号

新 年 の ご 挨 拶 新年あけましておめでとうございます。 兵庫県経営者協会並びに会員の皆様方におかれましては、心穏やかに新年をお迎えのことと お慶び申し上げます。また、労働行政の推進につきまして、平素から多大なるご理解とご協力を いただいておりますことに深く感謝申し上げます。 さて、景気については、新型コロナウイルス感染症の影響がみられるものの、輸出や生産が牽 引するもとで、全体としては持ち直しています。一方で県内の雇用情勢は、有効求人倍率が依然 として1倍を下回っており、引き続き新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に注意する 必要があります。 このような情勢の下、兵庫労働局におきましては、雇用維持や失業なき労働移動等に向けた支 援、デジタル化への対応をするとともに、全ての方々が意欲と能力を活かして活躍できる環境整 備を行い、魅力ある職場・誰もが働きやすい職場づくりを積極的に進めてまいります。 働き方改革に関しては、ウィズ・ポストコロナの「新しい働き方」に対応した、適正な労務管 理下における良質な雇用型テレワークの普及等に努め、特に中小企業・小規模事業者の方々が、 生産性向上を図りつつ働き方改革に取り組んでいただけるよう、兵庫働き方改革推進支援セン ターによる相談や事業所への個別訪問支援、各種助成金の活用促進など、きめ細かい支援を行っ てまいります。 本年4月1日より、パワーハラスメント防止対策の義務対象が中小企業にも広がります。また、 改正育児・介護休業法が、本年4月1日より段階的に施行されます。さらに、女性活躍推進法の改 正により、一般事業主行動計画の策定等の義務が101人以上の企業に拡大されます。 これらを始めとする兵庫労働局の諸施策が効果的に推進されるためには、個々の企業や経済 界の皆様のご理解とご協力が不可欠であります。 貴協会におかれましては、引き続き、労働行政へのご支援をよろしくお願いいたします。 最後になりますが、貴協会並びに会員の皆様方の益々のご健勝と、本年が明るい年となります ことを祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。 兵庫労働局長 鈴 木 一 光 令和4年 年頭のあいさつ 5 兵庫経協 2022年新年号

新 年 の ご 挨 拶 2022年の新春を迎えられ、謹んで新年のお慶びを申し上げます。 昨年の兵庫県の金融経済を振り返ると、一昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響を大き く受けた一年となりました。感染症流行の波と緊急事態宣言が繰り返される中、外食や宿泊など 対面型サービス部門を中心に個人消費は足踏み状態が続き、関連する企業の業況も厳しいものと なりました。 しかし一方で、一足先にワクチン接種が進んだ欧米諸国では急速に景気回復が進みました。 当地主力の製造業では、好調な外需を背景に、鉄鋼や化学といった素材産業や産業用の各種マシ ン・ロボットをはじめ多くの先が生産水準を切り上げ、神戸港の輸出も既往ピークに迫る勢いで 伸びました。夏場以降、東南アジアでの感染症の影響を受けた半導体などの部品不足(「供給制 約」)が下押し圧力となりましたが、生産の増加基調は維持されています。9月末の緊急事態宣言 解除後は、サービス消費も動き始めています。日銀短観でも県内企業の業況や売上・収益は改善 しています。当地の景気は、先行した生産や輸出を個人消費が追いかけるかたちで、全体として 持ち直しています。 今年を展望すると、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、前向きな動きが継続していくこ とが期待されます。もっとも、オミクロン株のように変異株の波が繰り返し訪れる可能性は残り ます。変異株の波が到来した場合に、その特性やリスクを踏まえ、感染抑制と経済活動の両立が バランスよく実現できるのか、きわめて不確実性が大きい中での下振れリスクには注意が必要です。 さて、コロナ禍では、健康や環境に対する人々の意識が一段と高まったように窺われます。 また、デジタル化の進展や気候変動問題への関心の高まり、さらには、急速に進む人口減少への 対応も含め、経営としては、環境変化を踏まえ、製品の高度化や製造・事務処理プロセスの省力化、 データを活用したビジネスの拡張などに取り組むことが課題となっています。日本銀行としまし ても、「物価安定の目標」の達成に向けて強力な金融緩和を粘り強く続けていくとともに、「気候 変動対応を支援するための資金供給オペレーション」を通じて、カーボンニュートラルの実現に 向けた取り組みをサポートして参る所存です。 今年一年が皆様の明るい未来に向けた更なる発展の年となることを祈念申し上げまして、新年 のご挨拶とさせていただきます。 日本銀行神戸支店長 山 崎 真 人 新年のご挨拶 6 兵庫経協2022年新年号

経協レポート KEIKYO REPORT ●理事会・会員報告会・会員講演会 〈12月度 理事会・会員報告会・会員講演会〉 日時:2021年12月20日(月) 14:00~17:10 会場:ANAクラウンプラザホテル神戸 ・理事会 14:00~14:30 参加人数(会場:38名 リモート:12名) 議案 ⑴役員の選任 ⑵会員異動 ⑶会員の栄光 ⑷2021年度事業中間報告 上記議案は意義無く可決されました。 ・会員報告会 参加人数(会場:44名 リモート:14名) ⑴最近の個別労働相談について 報告:兵庫県経営者協会 労働政策部長 松岡 直哉 ⑵在籍型出向等支援制度について 発表:厚生労働省兵庫労働局職業安定部職業安定課 雇用情報官 山田 隆広 様 ⑶兵庫県障がい者雇用施策について 発表:兵庫県産業労働部政策労働局労政福祉課 雇用就業室長 平野 謙 様 ⑷障がい者スポーツ促進について 発表:兵庫県健康福祉部障害福祉局ユニバーサル推進課 社会参加支援班長 井ノ本 教子 様 ・会員講演会 参加人数(会場:49名 リモート:12名) テーマ:『最近の経済情勢と企業経営の課題』 講 師:東京財団政策研究所 主席研究員 早川 英男 様 <要約> アベノミクスの総括に始まり、コロナ・ショック下の日本経済の置かれた状況、世界の経済情勢な どの考察を経て、深刻な財政状況、長期停滞の懸念、脱炭素への困難な道のりなど様々な問題に対し て警鐘を鳴らしました。 ●事業運営委員会 2021年度第1回 事業運営委員会を開催しました。 日時:2021年12月6日(月) 10:00~11:30 場所:兵庫県経営者協会 会議室 議案:令和3年度上半期事業進捗状況及び下半期推進計画について 委員長の成松副会長をはじめ、各委員会・専門部会の代表者と事務局から15名が参加し、2021年度上 半期の事業進捗状況と下半期の事業推進計画について報告・検討する事業運営委員会を開催しました。 委員会では、成松委員長から開会挨拶があった後、事務局より今年度の取り組みについて「基本姿 勢」、「重点課題」をふまえて、上半期の事業活動について報告を行いました。 続いて、各委員会・専門部会の各委員からの事業活動報告が行われた後、今後の課題について意見交換 が行われ、トランスジェンダーなどLGBTに対する企業の今後の取組みや、新型コロナウイルスに対す る協会事業の今後の対応などについて話し合われました。 三原会長 講師:早川英男氏 7 兵庫経協2022年新年号

経協レポート ●税経委員会 〈正・副委員長会議〉 2021年10月14日(木) 兵庫県経営者協会 会議室 10:30~11:30 議題 2021年度上期事業活動報告 2021年度下期事業計画、次年度の課題と日程調整について 中小企業向け研修会<中小企業委員会と合同開催> 消費税インボイス制度研修会 2021年12月7日(火) 兵庫県経営者協会 会議室 14:30~16:00 参加者25名(リモート受講・11名 会議室受講・14名) 講師:村上純二公認会計士・税理士事務所 所長 村上 純二 氏 〈税経特別研修会及び第222回経理懇話会〉 2021年12月9日(木) 神戸国際会館 13:30~17:00 参加者57名(リモート受講・21名 会議室受講・36名) 講演Ⅰ 「税務リスクと企業経営~税務コーポレートガバナンスと国際税務~」 講師:大阪国税局 調査第一部長 井澤 伸晃 氏 講演Ⅱ 「ESG経営と経理部門の役割」 講師:有限責任あずさ監査法人 AAS事業部マネージャー 笠原 悠莉 氏 アシスタントマネージャー 伊藤 友希 氏 講演Ⅲ 「経理部門のDX」 講師:有限責任あずさ監査法人 AAS事業部シニアマネージャー 生田 武則 氏 アシスタントマネージャー 中川 由香 氏 〈経理懇話会・第221回例会・リモート併用〉 2021年11月25日(木) 兵庫県経営者協会 会議室 参加者41名 14:00~17:00 「電子帳簿保存法改正への対応について」神栄株式会社より問題提起 後全員にて討議検討 ●労務委員会 〈労働基準法研修会〉 日 時:9月10日(金)、9月29日(水)、10月19日(火) 各日13:30~17:00 参加者数:20名 開催場所:兵庫県経営者協会 会議室 テーマと講師名: ・労働基準法とは(労基法の適用範囲、労働者性など)井関法律事務所 大原 雅之 弁護士 ・労働契約(労働条件明示、休職・復職、解雇・退職など)江戸町法律事務所 西中 秀允 弁護士 ・労働契約法(有期・無期雇用契約、雇止めなど)神戸伊藤町法律事務所 丸茂 英雄 弁護士 ・フレックスタイム・変形労働制・裁量労働制など アンサー法律事務所 谷宮 由和 弁護士 ・労働時間・36協定 神戸シティ法律事務所 髙橋 弘毅 弁護士 ・年次有給休暇、賃金など 神戸NT法律事務所 辻 のぼる 弁護士 会場の様子 大阪国税局 調査第一部長 井澤伸晃氏 8 兵庫経協2022年新年号

KEIKYO REPORT 〈労働法基礎講座〉 日 時:11月4日(木)、11月24日(水)、12月17日(金) 各日13:30~17:00 参加者数:19名 開催場所:兵庫県経営者協会 会議室 テーマと講師名:第一芙蓉法律事務所 小鍛冶 広道 弁護士 第1回 労働契約の締結/労働時間/賃金/労働条件の設定と変更に関する基礎知識(休業・一時帰休/ 不況下における労働条件変更に関する基礎知識を含む) 第2回 人事権・懲戒権/ハラスメント・メンタルヘルス/労働契約の終了に関する基礎知識(ハラスメ ントに関する改正法の概要/不況下における無期契約職員の人員削減に関する基礎知識を含む) 第3回 有期労働契約・労働者派遣・労働組合に関する基礎知識(不況下における有期契約社員の人員削 減に関する基礎知識/いわゆる「同一労働同一賃金」に関する基礎知識を含む) ●総務委員会 〈経営改善視察研究会〉 2021年10月29日(金) 神戸製鋼所 真岡発電所(栃木県)を訪問し、環境に配慮した最新鋭設備を見学しました。〔参加者10名〕 〈総務委員会懇親ゴルフコンペ〉 2021年10月30日(土) 第98回懇親ゴルフコンペを、烏山城カントリークラブ(栃木)にて開催しました。〔参加者8名〕 〈企業防衛セミナー〉 2021年11月18日(木) 企業防衛に関する意識を高めるべく、2部構成で講演会を開催しました。〔参加者20名〕 ①兵庫県警「暴力団情勢等」について 講師:暴力団排除対策室長 久保田 守彦 氏 ②読売新聞社「企業の情報発信と危機管理広報」について 講師:新聞のちから委員会 事務局長 戸田 博子 氏 〈総務委員会懇親ゴルフコンペ〉 2021年12月4日(土) 第99回懇親ゴルフコンペを、六甲国際ゴルフ倶楽部にて開催しました。〔参加者12名〕 ●人材育成委員会 「第一監督者研修会」「第二監督者研修会」 当協会では、主に製造現場の監督者等の職場リーダーを対象に、「メンバーとともに職場の問題を発見・ 解決しながら部下育成を進めるとともに、やる気と活気にあふれた職場づくりをリードする監督者・リー ダー」の育成を目指して、監督者研修会を開催しています。 12月までの開催内容は以下の通りです 【第一監督者研修会】(Microsoft Teamsによるオンライン研修) 10月例会 日時:10月20日(水) 9:00~17:00 内容:テーマ「リーダーシップ」に係る講義とワークショップ 11月例会 日時:11月24日(水) 9:00~17:00 内容:テーマ「職場の問題解決」に係る講義・ワークショップ 12月例会 日時:12月22日(水) 9:00~17:00 内容:テーマ「部下の育成・指導」に係る講義・ワークショップ 【第二監督者研修会】(ひょうご共済会館 会議室にて集合研修) 9月例会 日時:10月8日(金) 9:00~17:00 内容:テーマ「コミュニケーション」に係る講義・ワークショップ 10月例会 日時:10月22日(水) 9:00~17:00 内容:テーマ「リーダーシップ」に係る講義とワークショップ 11月例会 日時:11月26日(金) 9:00~17:00 内容:テーマ「職場の問題解決」に係る講義・ワークショップ 12月例会 日時:12月17日(金) 9:00~17:00 内容:テーマ「部下の育成・指導」に係る講義・ワークショップ 9 兵庫経協2022年新年号

スマートフォンや タブレットからも ご利用いただけます こちらの QRコードか の お申込も可能です 今年度の活動方針として、事務局では【①低学年をはじめたとした対象学生の多様化②地元企業人の魅力発信③ 感染症対策】を3つの柱として取り組んでまいりました。 今号では、そのうちの②にもとづいてに実施したイベントの報告と次年度説明会のご案内をさせて頂きます。 ◆セミナー参加者数 【会場】スペースアルファ三宮+【zoom】25名 【YouTube】当日再生回数73回 ◇プログラム ①基調講演 『我が子の就職活動を機に考える「働く」って何?』 Kiss FM KOBE 兵庫エフエム放送㈱ シニアセールスプロモーションディレクター 大竹 江理子 氏 ②<地元優良企業によるリアルトーク> ・トラストメディカル㈱ 管理部(採用担当) 部長 山田 氏 ・㈱阪技 総務部業務課 採用担当 里中 氏 タービンプラントサービス部 タービンプラント設計課 久保田 氏 ③兵庫県 就労支援事業について ④兵庫県経営者協会 インターンシップ推進事業について ◆参加者からの感想 ・講師の大竹様がリアルな母親目線で、よいお話をたくさんしてくださったので参考になった。 ・入社2年目社員の方から生のお話を聞けて、地元中小企業の良さがわかった。 ・2社の話がとても参考になったので、オンラインで多くの企業から話を聞ける機会を設けてほしい。 ・働き方や勤務時間だけではなく、企業の考え方や採用時の重視点などが、時代の流れで変わってき ていることを知った。過度に不安にならず、人間性を磨くことが就活においても必要だと知った。 ・学生の就職観はこの10年ほぼ変わっておらず、むしろ変化したのは企業側で、就活の場面で学生が 本音(待遇や勤務条件の質問等)を話しても問題のない雰囲気になってきたという点に驚きました。 ・不採用になった場合のマインドの話が特に参考になりました。「その企業と価値観が合わなかった だけ」というプラスになる捉え方は初耳だったので、ためになった。 保護者のための就活応援セミナー 【担当】兵庫県経営者協会 糀谷・浅野 ☎ 078-321-0294 internship@hpea.jp 2022年度の「インターンシップ説明会」「企業と大学の情報交換会」を開催いたします。詳細につきましては 「兵庫県インターンシップシステム」ホームページでご確認ください。 【URL】https://hyogo-internship.jp <プログラム> ①基調講演 「VUCA時代を生きるZ世代の学生心理とは?」 ~23卒・24卒学生の就職意識調査データより読み解く今後の就職マーケットの展望~ 株式会社ディスコ キャリタス就活 編集長 鈴木 一史 氏 ②兵庫県経営者協会・姫路経営者協会より実績報告&次年度説明 ③企業と大学との情報交換会(会場参加者のみ) <お申し込み>下記のオンラインフォームよりお申し込みください。 https://forms.office.com/r/utGSYAavd9 <申込締切>1月28日(金) 11月20日(土) 10:00~12:30 ハイブリッド開催 2022年2月18日(金) 13:00~16:30 ハイブリッド開催 「2022年度インターンシップ説明会」のご案内 INTERNSHIP 大学生インターンシップ 推進事業 10 兵庫経協2022年新年号

青年部会は10月13日(水)に「知っとう?神戸ビーフのこと」~兵庫の至宝、但馬牛・神戸ビーフの魅力を 探る~と題し、公益社団法人兵庫県畜産協会専務理事・事務局長の上野透様にご講演をいただきました。 上野様は永年畜産業界にご尽力されており、当日は40ページを超える資料・映像を基に、兵庫県を代表す る食文化のひとつである「神戸ビーフ」の歴史や生産状況、価格変動などを詳しくご説明いただきました。 ご存じの方も多いとは思いますが、兵庫県では独自の管理体制やDNA検証システムの構築、ブランド名 の商標登録などで神戸Beefを世界的ブランドに育て、令和2年度の神戸ビーフの輸出量は44,388.7㎏(対象 牛769頭)で前年比125%となったそうです。ちなみにコロナ前の三ノ宮界隈では外国からの観光客が神戸 ビーフのお店に多く並ばれていました。1日でも早く以前の賑わいが戻ることが期待されます。 ★教えていただいた豆知識も少し・・・外国生まれの牛も国内で3カ月以上飼育されれば国産牛。牛の鼻に は人間の指紋と同じような鼻紋があり生涯変わらないため登録書類や確認に利用。神戸ビーフのブロン ズ像は本物の証。専門店(389店)レストラン(331店)でお楽しみください。(R3年7月時点) 最後は西澤副部会長からは「神戸ビーフを堪能できるよう業績向上に務めたい」との美味しい!?決意 表明がなされ、閉会となりました。 青年部会は11月10日(水)にコロナ禍にも負けない心を養うため「座禅と写経」を臨済宗南禅寺派“福海寺” (正式名称は福海興国禅寺)で体験させていただきました。 福海寺には「大黒天様」が2体祭られているのですが、インドから伝わった大黒天様は、厳しい表情で圧 倒されるような強さが感じられ、よく目にする大きな袋と打出小槌を持たれた日本の大黒天様とは全く違 う印象を受けました。しかしどちらの大黒天様も“財運福徳”のご利益がいただけるということもあり、蛭 子神社と共に行われる柳原十日戎には、例年20万人ほど(コロナ前)の方が参拝されているそうです。 福海寺は現在、清水栄賢様が代三十世住職を務められており、当日はまず初めに大黒天様が祭られてい る本堂で座禅の目的や効果などをご説明いただき、参加した14名は10分程度の座禅を2回体験しました。自 分自身と向きあい精神統一することで集中力を鍛え、心を落ちつかせることでストレス解消が出来たと思 います。 その後は場所を移動し、写経を体験させていただきました。お手本の上に紙を置き“なぞる”やり方で 初めての方でも体験しやすいものでした。座禅と違い、「あ~」や 「え~」など少々邪念も聞こえましたが、それぞれ気持ちのこもった 写経になったと思います。最後は平井副部会長から「仏様の教えに 触れることで心穏やかになれました」と謝辞が述べられ散会となり ました。 福海寺では「座禅と写経」の体験会を実施されておりますので、 ご興味のある方はぜひ、行ってみて下さい。 ●10月例会報告 ~学びの例会~ ●11月例会報告 ~体験例会~ *10月に予定されていた「全国大会IN奈良」は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となりました。 Report 青 年 部 会・活 動 報 告 11 兵庫経協2022年新年号

兵庫県経営者協会 女性産業人懇話会 【日 時】2021年11月2日(火) 15:00~16:30 ※ひょうご仕事と生活センターとの共催 【会 場】ホテルクラウンパレス神戸+オンラインZoom・YouTubeによるハイブリッド開催 【講 師】㈱people first 代表取締役 八木 洋介 氏 【参加者】会場33名/オンライン101名(VAL21会員17名/一般参加117名) コロナ禍で人々の価値観や働き方が急速に変化するな か、企業の人事戦略の見直しが求められています。この 度、日本GE㈱人事責任者やLIXILグループ副社長として 活躍してこられた八木洋介氏を講師にお招きして、「今、 どのようなリーダーシップが必要なのか」「求められる リーダーの役割」「ダイバーシティ」について、軽妙かつエネルギッシュな関西弁 で約1時間半ご講演いただきました。 <講演要約> 日本の時間当たり労働生産性やジェンダーギャップ指数、やる気溢れる社員数は国際比較で極めて少な い。背景には戦後高度成長期から続く「経路依存性」があり、この構造が経済成長を止めている。過去を 守っていては勝てない時代である。 昨今のコロナ禍で、個人も会社も従来のメンバーシップ型システム(終身雇用や 年功序列など)の崩壊や管理型マネジメントの限界に気づき始め、「管理」ではな く「任せる経営」の時代になった。先が読めない、正解がない今だからこそ、 「思 い」を持ち、「ビジョン」を示し、「貫く一貫性」とリーダー自身の「魅力」で人や組 織を引っ張る“オーセンティック・リーダーシップ”が求められる。 ダイバーシティは「戦略」「活力」である。ポストコロナ、エンパワーメント(能 力開花・権限移譲)の時代では、老若男女問わず力のある人が成果で勝負し、全員 がエンゲージ(組織との信頼関係や愛着心を持つこと)して勝たねばならない。また、働く人やお客様の 半分は女性であり、マーケットは世界。分け隔てをすることこそが異常である。ダ イバーシティは「違う意見に耳を傾ける」ことで、健全な経営を促進するものであ る。実践しない会社はグローバルな世界では既に評価されていない。ダイバーシ ティは迷う必要のない経営課題である。 変化は確かに怖いが、志ある目的をもち、常日頃から信頼や実績を蓄積しなが ら、今自分が正しいと思うことをやる。完璧である必要はなく、少しでも可能性が あるならばやるべきである。そして、理不尽や不合理をやめることもまた変革。自 分が自分にできることを是非行ってほしい。 【日 時】2021年11月25日(木) 18:00~20:00 ※Zoomミーティングによるオンライン開催 【参加者】会員16名/一般参加7名 コロナ禍により働き方が大きく変化したことを受けて、新設の「働き方」チームでは、VAL21会員企業 へのヒント・活動展開のきっかけになればと考え、環境変化に対応するために様々な取り組みを展開され ている3社を例会にお招きして、詳しい事例についてご紹介いただく機会を設けました。 <プログラム> ①企業事例紹介⇒②参加者とのグループディスカッション⇒③全体での情報共有 住友ゴム工業㈱「住友ゴムの働き方改革~デジタルbotを活用した業務自動化」 ①人事総務部のチャットボット(自動会話プログラム)キャラクター開発 人事総務部の情報発信強化と社員との相互コミュニケーション向上 を目的として開発。キャラクターの愛嬌も相まってか従業員からは開 始後2年間で8,000件の問い合わせがあった。 ②RPA(Robotic Process Automation/業務自動化ツール)の推進 全社で推進しており、一例としては取引先からの担当者変更連絡を 11月例会 「変わる働き方と企業の取組み事例紹介」 10月例会 特別講演会「人で勝つ ~コロナ禍であぶり出された課題とその先の人事戦略~」 講師の八木洋介氏 司会の森下副代表幹事 ひょうご仕事と生活センター 辻センター長による閉会挨拶 兵庫県経営者協会 田中副会長による開会挨拶 12 兵庫経協2022年新年号

【日 時】2021年12月15日(水) 16:00~18:00 【会 場】兵庫県経営者協会+オンラインZoomによるハイブリッド開催 【参加者】会員11名 今年度もコロナ禍により、引き続き制約の多い1年となりましたが、新設「働き方」を含む「学生への働 きかけ」「女性への働きかけ」「スキルアップ」4チームの尽力により、充実した活動を続けることができま した。この度の12月例会では、今年度の活動を振り返り、企業環境や働き方の変化に対応し今後より充実 した活動ができるよう、次年度の方針について参加者全員で協議しました。 社内外システムに登録する作業をRPA化し、作業時間を71%(14時間→4時間)削減することができた。 稼働済RPAによる業務時間削減能力は10月末時点で36,254時間/年であり、2021年末目標比130%に届く 結果となった。従業員からは「ルーチンに費やしていた時間をより高度な業務に回せるようになった」 「月初の集計などで休めない業務を持っていたが気持ちが楽になった」「入力間違い防止による業務品質 の向上を図れた」という声があり、業務精度や働き方の向上に寄与していることが確認できている。 ㈱デンソーテン「デンソーテンの働き方改革の取組」 働き方改革は個人と会社の双方にとってより良いものとなるよう、 「生産性向上」「個人の選択・チャレンジ」「個人の成長・多様性発揮」の サイクルを回すことを目指している。 もともとテレワークは育児・介護との両立支援からスタートしたが、 生産性向上等を目的に製造現場などの一部を除く全従業員対象に拡大 した。20年4月には新型コロナ感染拡大防止のため、本社等で一時的に 原則在宅勤務に切り替え、「業務を止めないためにはどうしたらよいか」 「どうやったら生産性を維持できるか」と試行錯誤で乗り越えた。当初は制度に対する不安や疑問の声も多 くあったが、仕事のやり方やコミュニケーションの取り方を工夫し、上手に活用すれば生産性の向上にも つながるという実感を得ている。特に、毎日のこまめなミーティングや進捗確認、情報を整理して文章等で 相手に確実に伝える、などの工夫が進み、上下間のコミュニケーションや人材育成の場面でのよい変化が見 られている。現在は本社での出社率は50%程度で、業務に合わせて出社と在宅を選択している。また、より 生産性の高い働き方を推進すべく、勤務制度だけでなく、マネジメント適正化のための組織開発手法の導入、 役員と従業員が本音で議論をする「キャッチボールミーティング」実施など、様々な施策に取り組んでいる。 さらに、ローテーション活性化や副業ガイドライン制定、育児介護に限らない短時間・短日数勤務導入 など、生産性向上で生み出した時間で新たなチャレンジをする従業員の支援も強化しており、多様な経験 による社員一人ひとりの成長を仕事に還元できるような好循環を目指していく。 東京海上日動火災保険㈱「東京海上日動の新しい働き方への挑戦」 「テレワーク」については、インフラ整備、ペーパーレス、捺印レスな どの体制整備に会社・現場ともに取り組み活用推進を実現。「在社メン バーの負担」対策には入電を各自のスマホに移行、在社シフトのバラン スに配慮、共有スケジュールの入力徹底などの工夫をした。「コミュニ ケーションの希薄化」には、Teamsを活用したタイムリーな情報交換や Zoomで顔の見えるミーティングを心がけている。 次に、朝5時から22時の間、自分で勤務時間を自由に選択できる制度「スーパーマイセレクト」により、 育児介護に合わせて午前中で仕事を終えることや、帰りがけに自己研鑽のため習い事へ通うことも可能と なった。「半日休暇」や他制度との併用もでき、勤務時間の幅が広がった。 新しい働き方に向けたオフィス環境「フリーアドレス」では、4人がけテーブルがジグザグに並ぶレイア ウトに変更し、朝来たら好きな席に座って良い。周囲には常に違う社員が座るため様々な情報が平等に 入るようになり、社員間のコミュニケーション活性化にもつながっている(現在はコロナにより固定席)。 「電話の取次ぎ」には上記のスマホ入電と共有スケジュールで対応。「書類の受け渡し」は、可能な限りデー タ化し、紙は必ず専用ボックスで受け渡し共有管理。「人材育成」の観点から、新入社員は教育担当とペア で席を決める。その日の仕事に合わせて社員が集まって座り、打ち合わせをしながら仕事を進められるよ うに予約制度も設けた。 会社のワークルールや環境整備だけでなく、現場の社員たちが新しいルール・課題解決策を考えながら 進めていく必要性を実感。新しい働き方や柔軟な働き方の実現には、今まで以上に社員間の連携や支え合 いが必要であり、自由度が増せば増すほどにコミュニケーションの密度を濃くしていかなければいけない。 これからも色々な課題に直面すると思うが、個人・会社ともに成長していけたらと考えている。 12月例会 「今年の振り返り及び次年度の事業計画について」 13 兵庫経協2022年新年号

新型コロナウィルス感染症に罹った 現場作業に従事する従業員が、後遺症 (異常なだるさ)が続くことにより、 かかりつけ医の診断書とともにデスクワークへの 異動希望を申し出てきました。 会社としてどう対応すべきでしょうか。 1 回答 会社には、従業員の異動希望に応じ る義務はありませんが、業務により新 型コロナウィルス感染症の後遺症(以下「罹患後 症状」といいます。)が増悪しないよう、治療と仕 事の両立のために必要となる一定の就業上の措置 や治療に対する配慮を行う必要があります。 そのためには、主治医、産業医等の意見を参考 にして、当該従業員の罹患後症状を正確に把握し たうえで、同症状に応じた就業上の措置や治療に 対する配慮を個別具体的に考える必要があります。 2 理由 (1)検討方法 設問に対する検討は、①従業員の異動希望に 対する基本的な考え方、②疾病を抱える従業員 より異動希望があった場合の対応、③①及び② を前提に同疾病が新型コロナウィルス感染症の 罹患後症状である点をどのように評価するべき かという観点から行います。 (2)①従業員の異動希望に対する基本的な考え方 会社と従業員との間の労働契約には、賃金の ほか、勤務日、勤務時間、勤務場所、労務提供 先、職種・業務内容が定められており、かかる 労働契約の内容を変更するには、原則として、 会社と従業員の合意が必要です。 会社の従業員に対する異動命令は、就業規則 等に異動命令に関する定めがある場合には、同 命令が濫用になる事情がない場合には、有効に なります。 他方で、従業員の会社に対する異動希望は、 一般的な労働契約や就業規則等には、従業員の 会社に対する異動請求権を認める規定は存在し ないことが一般ですので、会社には従業員の異 動希望に応じる義務はありません。 (3)②疾病を抱える従業員より異動希望があった 場合の対応 労働安全衛生法では、会社による従業員の健 康確保対策に関する規定が定められており、そ のための具体的な措置として、健康診断の実施 及び医師の意見を勘案し、その必要があると認 めるときは就業上の措置(就業場所の変更、作 業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減 少等)の実施を義務付けています(労働安全衛 生法第66条、第66条の4、第66条の5)。 労働安全衛生法の健康確保対策に関する諸規 定は、従業員が、業務に従事することによって、 疾病を発症したり、疾病が増悪したりすること を防止するための措置などを会社に求めている ものであり、会社が疾病を抱える従業員を就労 させると判断した場合には、業務により疾病が 増悪しないよう、治療と仕事の両立のための必 要となる一定の就業上の措置や治療に対する配 Q A 弁護士 長谷部 信一 (神陵法律事務所) 新型コロナウィルス感染症の後遺症を理由とする異動希望に対する対応 Q&A 労働問題 14 兵庫経協2022年新年号

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