「兵庫経協」2022新年号

新 年 の ご 挨 拶 2022年の新春を迎えられ、謹んで新年のお慶びを申し上げます。 昨年の兵庫県の金融経済を振り返ると、一昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響を大き く受けた一年となりました。感染症流行の波と緊急事態宣言が繰り返される中、外食や宿泊など 対面型サービス部門を中心に個人消費は足踏み状態が続き、関連する企業の業況も厳しいものと なりました。 しかし一方で、一足先にワクチン接種が進んだ欧米諸国では急速に景気回復が進みました。 当地主力の製造業では、好調な外需を背景に、鉄鋼や化学といった素材産業や産業用の各種マシ ン・ロボットをはじめ多くの先が生産水準を切り上げ、神戸港の輸出も既往ピークに迫る勢いで 伸びました。夏場以降、東南アジアでの感染症の影響を受けた半導体などの部品不足(「供給制 約」)が下押し圧力となりましたが、生産の増加基調は維持されています。9月末の緊急事態宣言 解除後は、サービス消費も動き始めています。日銀短観でも県内企業の業況や売上・収益は改善 しています。当地の景気は、先行した生産や輸出を個人消費が追いかけるかたちで、全体として 持ち直しています。 今年を展望すると、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、前向きな動きが継続していくこ とが期待されます。もっとも、オミクロン株のように変異株の波が繰り返し訪れる可能性は残り ます。変異株の波が到来した場合に、その特性やリスクを踏まえ、感染抑制と経済活動の両立が バランスよく実現できるのか、きわめて不確実性が大きい中での下振れリスクには注意が必要です。 さて、コロナ禍では、健康や環境に対する人々の意識が一段と高まったように窺われます。 また、デジタル化の進展や気候変動問題への関心の高まり、さらには、急速に進む人口減少への 対応も含め、経営としては、環境変化を踏まえ、製品の高度化や製造・事務処理プロセスの省力化、 データを活用したビジネスの拡張などに取り組むことが課題となっています。日本銀行としまし ても、「物価安定の目標」の達成に向けて強力な金融緩和を粘り強く続けていくとともに、「気候 変動対応を支援するための資金供給オペレーション」を通じて、カーボンニュートラルの実現に 向けた取り組みをサポートして参る所存です。 今年一年が皆様の明るい未来に向けた更なる発展の年となることを祈念申し上げまして、新年 のご挨拶とさせていただきます。 日本銀行神戸支店長 山 崎 真 人 新年のご挨拶 6 兵庫経協2022年新年号

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