「兵庫経協」2022春号

採用方法の多様化、ジョブ型雇用の導入・活用、エンゲー ジメントを高める処遇制度、人材育成とキャリアパスなど、 様々な観点から必要な見直しを行い、各企業にとって最適な 「自社型雇用システム」の確立を目指すことが検討の方向性 です。 3.円滑な労働移動の推進 ポストコロナを見据え、DXやGX※の進展による産業構造 の転換と人口減少への対応として、雇用のセーフティーネッ トを前提に、生産性向上にも寄与する成長分野・産業への円 滑な労働移動が不可欠です。 失業予防対策としての雇用調整助成金を含む、雇用保険制 度、求職者支援制度、生活困窮者自立支援制度、最後に生活 保護制度があるなど、重層的にセーフティーネットが整備さ れています。コロナ禍にあっては雇用の維持、失業の予防を 最優先に数々の特例措置がありました。今後は、労働移動を 阻害しない雇用のセーフティーネットのあり方について。多 面的な視点による検討が不可欠となります。 ※DX:デジタルトランスフォーメーション、 GX:グリーントランスフォーメーション 企業における温室効果ガスの排出源である化石燃料や電力の使用を、再生可 能エネルギーや脱炭素燃料に転換することで、社会経済を変革させること 雇用・労働分野における諸課題 1.改正育児・介護休業法 改正育児・介護休業法が、この4月1日より段階的に施行され、企業には出産・育児による労働者の離職 を防ぎ、希望に応じて男女共に仕事と育児を両立できる社会の実現に向けた取組を進めることが期待され ます。 男性の育児休業促進のため、男性は出生時育児休業と合わせて最大4回の分割取得が可能になります。 経営トップ自らが、社内全体に仕事と妊娠・出産・育児の両立の大切さを発信し続けることは、育児休 業取得促進に関する自社の“本気度”を伝える有効な方法の一つとなります。 2.70歳までの就業機会の確保 65歳までの雇用確保措置の義務に加え、70歳までの就業確保措置が努力義務化されました。 70歳までの就業確保措置は努力義務ですが、措置の検討等を行っていない場合、行政からの指導・助言 等の対象となる可能性があります。措置を講じていない企業は、速やかな検討着手が望まれます。 継続雇用制度における再雇用高齢社員の賃金水準は、今後の公的給付制度の変更踏まえ、必要に応じて 見直す必要があります。 また、有期雇用の再雇用高年齢社員については、同一労働同一賃金の観点から、正社員との均等・均衡 待遇に留意する必要があります。 高齢社員個々人の状況・ニーズに対応可能な雇用・就業形態の整備、エンゲージメントを高める人事評 価の実施と処遇への適切な反映、スキルアップのための研修・セミナーの実施、安全衛生対策の実施など に取り組むことも重要です。 第2章 ポストコロナに向けて、労使協働で持続的成長に 結びつくSociety5.0の実現が副題 3 兵庫経協2022年春号

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