「兵庫経協」2022春号

今年は、一部に業績改善の傾向がみられる一方で、新型コロナウイルス感染症の長期化により 影響を受け続けている業種とのいわゆる「K字型」回復が鮮明になり、ロシアの軍事行動により 国際情勢が急激に変化し、コスト環境の悪化懸念がある中で春季労使交渉を迎えることとなりま した。 今回は、経団連より発行された「2022年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」の今 年度版に特徴的な内容を中心にまとめました。 人口減少下での成長を実現するポストコロナを見据えた働き方 1.働き方改革フェーズⅡへの深化の重要性 少子・高齢化の進行により、生産年齢人口が減少していく中、企業が持続的な成長を実現するためには、 多様な人材の活躍推進とともに国際的に低いとされる、わが国の労働生産性の向上が不可欠です。これま で多くの企業はインプット(労働投入)を効率化する働き方改革「フェーズⅠ」に取り組み、一定の成果を 上げてきました。企業が労働生産性をさらに向上させていくためには、フェーズⅠの取り組みを継続しな がら、同時に働き手のエンゲージメントの向上によりアウトプット(付加価値)の最大化を目指す、働き方 改革「フェーズⅡ」へと進化させていく必要があります。 2.日本型雇用システムの見直し 新卒一括採用、長期・終身雇用、年功型賃金、企業内人材育成等を特徴とする日本型雇用システムは、 計画的な採用や社員の高い定着率、ロイヤリティの醸成など様々なメリットがありました。しかし、経営 環境や働き手の意識の変化などに伴い、新卒一括採用は、入社機会の抑制や中小企業等の人材獲得が困難 となり、年功型賃金は職能・成果と賃金水準との間の乖離、長期・終身雇用や企業内人材育成は転職等の 労働移動を抑制するなど問題が顕在化しています。 第1章 労働政策ニュース ~経団連『2022年版 経営労働政策特別委員会報告』(経労委報告)の要点~ 特 集 2 兵庫経協2022年春号

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