「兵庫経協」2023夏号

会長就任ご挨拶 新たに兵庫県経営者協会会長に就任しました成松でございます。 まずは今回ご退任された三原前会長、塚本前副会長、村上前副会 長、林前専務理事におかれましては、兵庫県経営者協会の運営にご 尽力され、多大な成果をあげられましたことについて感謝申し上げ たいと思います。 就任にあたりまして、現状と課題などについて考えてみますと、 労働関係の法律が次々に制定・改正されたり、賃上げや賃金のあり 方をめぐる最近の議論の状況など、難しい問題が多々あります。 その中で、労使自治の問題に関して少し触れたいと思います。労使自治というのは様々な問題に ついて、会社と従業員とが話し合いで自主的に決めていこうというものです。 一般に日本の労働組合は企業別組合だと言われていますが、私は日本の組合の基本が企業別組合 だというのは間違いで、連合及び産別組織、地域別の各種組織が非常に重要だと思います。 全国レベルの労使自治としては、まずは賃上げです。賃上げ交渉では産別あるいは連合と各種経 済団体との間で話し合いがもたれ、大きな成果が出ています。それに加え労働時間その他の面での 産別段階や全国レベルの話し合いが、もっと積極的に行われるべきだと思います。一社だけでは、 他社との競争力に関わってきますから。こうした点では、経営者協会としてお役に立てることがあ ると思います。 次に個別企業における労使自治ですが、一点だけ個別の労働紛争について述べます。労働紛争の 多様化と増大という問題があります。 資料によりますと、裁判所に提起される労働訴訟の数が令和3年に平成3年の7倍、3500件余りに なっていました。その数と同じくらいの労働審判がありますし、さらに膨大な数の相談が労働局に かかっています。こうした労働紛争においては、労使の話し合いがうまくいかない場合は、労働側 は地協組織を作ったりしていて、相談に行くことができます。ところが会社側は、経営者協会に 加入していない会社が、不適切なアドバイスを受けて泥沼の紛争に陥ることがしばしば見受けられ ます。 そういう点で経営者協会に入っていない経営者をなくすということが、労使関係の安定に役立ち ます。言い換えれば、労使関係の安定の為には、経営者協会の会員拡大が是非とも必要だというわ けです。 今後ともいろいろな課題について勉強し、経営者協会の役割を考えていきたいと思っています。 兵庫県経営者協会の会長という重責をしっかりと務めたいと思いますので、皆様方のご支援・ご 鞭撻をよろしくお願い申し上げます。 川崎重工業株式会社 顧問 成松 郁廣 3 兵庫経協2023年夏号

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