「兵庫経協」2023春号

3 他の無期雇用労働者との差異 では、無期転換者と、無期転換者ではない無期 雇用労働者(最初の労働契約の締結の時点から無 期雇用労働者である者)との間に、労働条件の差 異がある場合、それについてはどのように考える べきでしょうか。 「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理 の改善等に関する法律」(以下「短時間・有期雇用 労働者法」といいます。)8条・9条は、有期雇用労 働者についての不合理な待遇や差別的取扱いを禁 止しています。無期転換前の労働者(有期雇用労 働者)については、無期雇用労働者との間に労働 条件の差異がある場合、これらの条文への違反と いう問題を生じ得るところです。 しかし、無期転換者は、短時間労働者に該当す る場合を除けば、これらの条文の適用対象からは 外れることになります。 ただ、労働契約法3条2項が「労働契約は、労働 者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考 慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」 と定めていること等に鑑みても、「他の無期雇用 労働者との間の均衡」という観点を考慮して無期 転換者の労働条件が設定されることは、基本的に は、実質上望ましいことであるといえると思われ ます。 ただし、ここでは、更に、無期転換者と有期雇 用労働者との労働条件の差異という問題について も考慮する必要があると考えられます。つまり、 無期転換後も有期雇用労働者の場合と業務内容等 が変わらないにもかかわらず、無期転換者の労働 条件のみが有利なものに設定され、有期雇用労働 者と比較した場合に労働条件に差異があるという 状態になれば、今度はそのこと自体が上記の短時 間・有期雇用労働者法8条・9条への違反(有期雇 用労働者への不合理な待遇、差別的取扱い)とい う問題を生じる可能性もないわけではないと考え られますので、この点にも注意が必要でしょう。 以上 兵庫県経営者協会には経営側の視点で活動する「兵庫県経営法曹会」の メンバーが多数在籍しています。そんな弁護士陣に日頃のお悩みを相談 しませんか? 企業経営に関わることであれば、どんなことでも結構です。安心して相談 できる弁護士をご紹介しますので、是非、ご活用ください。 当協会ホームページのインフォメーションにある右の画像をクリックしてください。⇒ https://www.hpea.jp 兵庫県経営者協会 初回無料 (60分程度) 13 兵庫経協2023年春号

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