「兵庫経協」2022夏号

社会保険の適用拡大の概要 現在、株式会社などすべての法人および農林 漁業、サービス業など一部を除く従業員が常時 5人以上いる個人の事業所が強制適用事業所と され、社会保険(厚生年金、健康保険)の適用 があります。そうした適用事業所に勤める正社 員などフルタイムの労働者および所定労働時間 が正社員の4分の3以上のパートタイマーやア ルバイトなどの非正規社員は社会保険の被保険 者としなければならないこととなっています。 なお、正社員、非正規社員を問わず、厚生年金に ついては70歳、健康保険については75歳に達する と被保険者資格を失います。 もっとも、所定労働時間が正社員 の4分の3未満であっても、従業員規 模が501人以上の企業に勤めていて、 以下の要件をすべて満たすパートタ イマー・アルバイト等については被 保険者としなければならないことに なっています。 ①所定労働時間が20時間以上ある こと ②雇用期間が1年以上見込まれる こと ③賃金の月額が8万8千円以上であること ④学生でないこと 今年(2022年)10月1日から、パートタイマー・ アルバイト等を被保険者としなければならない従 業員規模が501人以上から101人以上にまで拡大さ れます。併せて、②の要件も「1年以上」から「2か 月を超える」に変更されます。なお、従業員規模 は現在の厚生年金の適用対象者数、つまり正社員 と週所定労働時間が正社員の4分の3以上の従業員 数の合計で判断されます。 さらに、2024年10月1日からは、従業員規模が 51人以上の企業に拡大されることになっており、 兵庫県経営者協会の会員では多くの企業が適用拡 大の対象となると思われます。(図参照) 1 少子高齢化に歯止めがかからない中で、年金や医療など社会保障への支出が増 大するとともに、税や保険料などその費用負担も増え続けています。こうした中、 これまで社会保険料を直接負担してこなかった層にも新たな負担を求めるべく、 社会保険の適用拡大が図られています。平成28年(2016年)10月から501人以上の企業に勤めるパートタイ マー等を対象に社会保険(厚生年金、健康保険)の被保険者とすることとなっていますが、今年の10月から その範囲が101人以上の企業にまで拡大されます。 本稿では、社会保険の適用拡大の内容とともに、それが企業や労働者に与える影響、対応策を考えてみ たいと思います。 労働政策ニュース 特 集 社会保険の適用拡大 人事労務倶楽部 社会保険労務士 宮 内 雅 也 4 兵庫経協2022年夏号

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