「兵庫経協」2024春号

●経団連の基本姿勢 物価上昇が続く中、経団連は2024年以降も「社会性の視座」に立って、賃金引上げのモメンタムを維持・ 強化し、構造的な賃金引上げの実現に貢献していくことが、経団連・企業の社会的責務と考えています。 今年の経労委報告は、物価動向への対応にあたって急激な上昇局面にある短期、安定的持続的な上昇局 面が実現している中期に分けて基本方針を整理しています。 短期となる今年の春季労使交渉は、コストプッシュ型による高い物価上昇局面で行われることから、 賃金決定の大原則に則った検討の際、特に物価動向を重視し、自社に適した対応について企業労使で真摯 な議論を重ねて結論を得ることが必要です。 物価動向との比較検討にあたっては、企業全体の賃金増加分や賃金総額の上昇率(ベア)だけでなく、 働き手個人の実際の賃金引き上げ状況を表している賃金引上げ率(ベア+定昇の上昇率)を用いるなど、 多面的な見方も必要です。 一方、中期的な検討では、企業には自社の労働生産性の改善・向上によって原資を確保した上で、賃金 決定の大原則に則り、自社の成長の果実を「人への投資」促進の両輪である「賃金引上げ」と、「総合的な処 遇改善・人材育成」に適切に反映するとの考え方に基づいた対応が必要となります。 その上で2%程度の適度な物価上昇を前提に、物価上昇に負けない賃金引上げを継続して行くことが考 えられます。 2024年春季労使交渉は物価動向への対応はもちろん、昨年からの賃金引上げのモメンタムの維持・強化 を継続できるかが極めて重要な位置づけで、経団連は2023年以上の意気込みと決意をもって、賃金引上げ の積極的な検討と実施を求めております。 具体的には、月例賃金、初任給、諸手当、賞与・一時金を柱として、労使で真摯に議論を重ね、多様な 方法・選択肢の中から適切な結論を見出すことが大切です。 月例賃金(基本給)の引上げにあたっては、物価上昇が続いていることに鑑み。制度昇給に加え、ベース アップ実施を有力な選択肢として検討することが望まれるとの方針を打ち出しています。 加えて、人材確保の観点から、ベースアップ実施による賃金水準の引上げを含めた見直しの検討が有益 です。 また、多くの企業で昨年実施された初任給引上げについては、2024年においても有力な選択肢として挙 げています。 諸手当については、生活関連手当と職務関連手当に大別して、そのあり方を再確認し、必要に応じて 個々の手当を見直すことが基本となります。 賞与・一時金は短期的な収益・生産性が安定的に改善・向上している企業では、前年より多く原資を確 保し、自社の制度に則って社員個人の成果や貢献度等の評価に基づいて金額を決定し、適切に支給するこ とが必要です。 物価上昇への対応として、賞与・一時金への特別加算や特別一時金としての支給などの選択肢もあります。 4 兵庫経協2024年春号

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