「兵庫経協」2024春号

ん記載した理由を撤回することは、②雇止めの合 理的理由等に欠ける事情として評価されるおそれ があります。よって、調査の上、認識した理由を 正確に記載すべきと考えます。 3 労働者の合理的期待等(①) Aは、高年齢者雇用確保措置の継続雇用制度 (高年齢者等雇用安定法9条1項2号)のもと再雇用 されており、この制度は65歳までの雇用確保を目 的としていますので、原則、労働者の合理的期待 等はあると考えられます。 ただし、「心身の故障のため業務に堪えられな いと認められること」、「勤務状況が著しく不良で 引き続き従業員としての職責を果たし得ないこ と」等、就業規則上の解雇・退職事由に該当する 場合には継続雇用せずともよいとされていますの で(高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関す る指針 第2-2)、この事由が認められる場合、そも そも合理的期待等がないとの見解もあり得ます。 4 雇止めの合理的理由等(②) もっとも、解雇・退職事由の有無は、実務上、 緻密な利益衡量が可能な②雇止めの合理的理由等 の判断において考慮されると考えます。以下は、 解雇・退職事由が就業規則に規定されている前提 ですが、Aと上司とで言い分が異なっており、ま ずは詳細な事実関係を確認する必要があります。 職務命令違反は、違反の内容・程度次第ですが、 そもそも上司の指示が必要かつ相当であったこと が前提です。不必要又は不相当な指示はパワーハ ラスメントと評価されるおそれがあり、ハラスメ ントに対する異議を職務命令違反と評価すること はできないからです(労働施策総合推進法30条の 2第1項、2項参照)。また、実際にAが指示された 業務を完遂しているのであれば、雇止めに相当す る職務命令違反とは評価し難いと考えます。 能力不足は、専門職など特定の職務に関し高度 の能力を期待されていた場合は格別、能力不足が 重大で改善余地がない場合等、限定的に解されて います。まずは、能力を客観的かつ公正に評価し、 改善の推移をみる必要があります。殊に、職務が 非定型的、成果が定性的な場合には工夫を要し、 たとえば、日々、個別具体的に職務を指定し、具 体的に目標を定め、達成状況を確認するなどが考 えられます(ただし、職務が過少・過大にならな いようご注意ください)。Aの年齢、パフォーマ ンス低下、反発する態度などから改善余地は限定 的と思われますが、問題意識を共有し、改善点を 具体的に指示する等の働きかけが必要と考えます。 私傷病は、期待される労務を提供できないので あれば雇止めの合理的理由等になります。職務上 の支障が明らかで、その背景に健康問題が疑われ るときは、(認知症にも治療可能なものがありま すので)Aに受診を勧奨し、これに応じないとき は受診命令を検討すべきです。すなわち、就業規 則に規定があり、労働者の治癒回復目的に照らし 合理的かつ相当である限り、会社は、労働者に対 し労働安全衛生法によらない検診・受診を命ずる ことができ、労働者は受診義務を負います(最判 昭和61年3月13日労判470号6頁)。 なお、Aの雇止めは、契約期間満了日の30日前 までに予告する必要がありますので、以上の対応 は、スケジュールにもご留意ください。 兵庫県経営者協会には経営側の視点で活動する「兵庫県経営法曹会」の メンバーが多数在籍しています。そんな弁護士陣に日頃のお悩みを相談 しませんか? 企業経営に関わることであれば、どんなことでも結構です。安心して相談 できる弁護士をご紹介しますので、是非、ご活用ください。 当協会ホームページのインフォメーションにある右の画像をクリックしてください。⇒ https://www.hpea.jp 兵庫県経営者協会 初回無料 (60分程度) 13 兵庫経協2024年春号

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