新 年 の ご 挨 拶 皆様におかれましては、2024年の新春を迎えられ、謹んで新年のお慶びを申し上げます。 昨年の兵庫県経済を振り返ると、一部に弱めの動きがみられたものの、緩やかに回復しました。 企業の生産・輸出では、当地の生産面への影響が大きい中国向けで弱さがみられましたが、完成 車メーカーの生産回復などもあり、横ばい圏内の動きとなりました。この間、設備投資が増加し たほか、個人消費も、経済活動の正常化を受けたペントアップ需要等が牽引する形で、緩やかに 回復しました。 本年を展望すると、わが国の景気の回復は続くとみており、兵庫県も基本的に同様の動きとな るとみています。もっとも、こうしたシナリオについては、海外経済の動向や地政学的リスク等 を踏まえると、不確実性がきわめて高いことにも留意が必要です。また、国内では、輸入物価上 昇の消費者物価への転嫁が進むなか、賃金の上昇が追い付かず、個人消費を抑制することがないか、 といった点は懸念材料です。物価の見通しについても、経済の先行きと同様、不確実性が大きい ですが、わが国経済が持続的な成長経路に復帰するためには、持続的・安定的な賃金の上昇が不 可欠となります。県内においても、本年の春季労使交渉の帰趨や、賃金等の上昇を念頭に置いた 販売価格の設定スタンスの強化やその広がりを確認したいと思っています。 本年は、来年に迫った大阪・関西万博に合わせて、神戸空港の国際線化やひょうごフィールド パビリオン等の取り組みも更に加速すると思います。また、水素産業の強化に代表される、先進 的なモノ作り県としての脱炭素化に加え、医療産業やDX推進によるIT関連企業の集積等の更な る推進も期待されます。日本銀行としては、こうした企業の前向きな取り組みを、物価と金融シ ステムの安定を通じて支えていくとともに、神戸支店としてもしっかりフォローしたいと思って います。 今年の干支である辰(たつ)は、これまで準備してきたことが形になるといった、縁起の良い年 とされています。皆様方にとりましても、これまでの取り組みが更に大きな成果を引き出す年と なることを祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。 日本銀行神戸支店長 竜 田 博 之 新年のご挨拶 7 兵庫経協 2024年新年号
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