「兵庫経協」2023秋号

●使用者側 ・春季労使交渉の結果をすべての企業に適用するだけで影響が大きい、さらに賃金引き上げ の結果を上回る最低賃金は、苛酷な状況にある中小企業にはとても厳しい。 ・「加重平均1,000円を達成」と記載された政府方針への配意に基づく答申は真に自由意思に 基づくものと言えるか? ・配意すべきは、一番苛酷な状況にある企業と、そこで働く労働者である。 ●労 働 側 ・日本社会のデフレマインドを転換をする意味で、春闘で実現した賃金引上げの成果を労働 組合のない労働者へ波及させる必要がある。 ・現在の最低賃金ではセーフティーネットになっていない。 ・地域間格差を解消したい。 ・大阪・京都・全国加重平均との差を詰めたい。 【労使の主な主張】 今年は最低賃金改定の目安を審議する中央審議会への諮問において、厚生 労働大臣より全国加重平均1,000円を達成と具体的な金額が記載された「新 しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版」及び「経済財 政運営と改革の基本方針 2023」に配意を求められ、その結果として加重平 均1,000円を逆算したかのような40円(Bランク)と過去にない引上げ額が 目安となりました。 そして、これを受けた兵庫の地方審議会においても諮問において、兵庫労 働局長より、中央と全く同様に「新しい資本主義のグランドデザイン・・・」 に配意することを求められました。 金額審議では労働側の5%台+49円の主張に対し、使用者側は連合兵庫集 計の春季労使交渉賃上げ率の3.44%に相当する+33円以上は無理との主張 で膠着し、最終的に使用者側は三者合意を尊重し目安通りの+40円、労働側 は全国加重平均との差を埋めることに拘り+42円を提示し、再び議論が膠着しました。 そこで公益委員の案で採決することとなりましたが、公益委員が提案した案は+41円(1,001円)で、 公益・労働委員賛成、使用者委員反対で採決されました。 なお、公益委員は提示案が目安額を1円上回った理由として、次の4点をあげています。 1.消費者物価の上昇で、労働者の生活を守るには目安額の1,000円では十分ではない。 2.全国加重平均と兵庫県の差を拡大すべきではない。 3.世界水準から見て日本の最低賃金は低い。 4.生産性を上げるより先に賃上げをし、刺激を与えることが必要。 労働政策ニュース 特 集 兵庫県最低賃金が千円を超えました。 10月1日より41円増額の1,001円となっています。 県内労働者の28%、17万人の賃金が直接上昇します。 特定(産業別)最賃は、12月1日より6業種で増額しますが、自動車 小売業は金額を改正せず、県最低賃金の1,001円が適用されます。 2 兵庫経協2023年秋号

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