「兵庫経協」2021秋号

たいという要請も当然にあるでしょう。 しかしながら、前述のようにワクチン接種が努 力義務である以上、企業側が業務命令として従業 員に接種を指示することはできません。(常識的 な範囲で、接種を「推奨・勧奨」することは可能で あると考えられます。) さらに、接種しないことにより、減給や降格を 伴う様な不利益な取り扱いをすることも原則とし て許されません。(政府も本年2月に、新型コロナ ウイルスのワクチンを接種していないことを理由 に解雇や減給、配置転換、取引中止などの不利益 な取り扱いをするのは不適切だとする答弁書を閣 議決定しています。) 4 ワクチンを 打 たない( 打 てない) 従業員 を 接 客業務 から 外 す 異動 が 可能 か それでは、ご質問のように、顧客および従業員 が感染するリスクを低減させるため、ワクチンを 打たない(打てない)従業員を顧客対応業務から 他の部門に配置転換することは可能でしょうか。 配置転換を行うためには、①従業員の個別的同 意または就業規則上の根拠が必要であり、また② 権利の濫用となってはなりません。 権利濫用の判断はケースバイケースですが、 「配置転換の業務上の必要性」と「該当する従業員 が受ける不利益」の比較衡量した場合、前者が後 者に優越することが必要です。 本件においても、配置転換をする必要性、合理 性の有無や、配置転換後の労働条件等を総合的に 判断するべきですが、職種・勤務状況(ホテル、百 貨店、レストラン等の接客業務で、不特定多数の 顧客と接触する機会が多く、感染拡大防止の必要 性が高い等)、施設の特性(空間の広さ、空調設備 等、感染防止対策が施しやすいか否か、利用者の 数・出入りの頻度、会社の施設が所在する地域の 感染状況等)に鑑みて、ワクチンを打たない(打 てない)従業員を顧客対応業務から外す必要性が 高く、配置転換後の従業員の労働条件(給与等)が 特に不利益とはならない場合、合理的理由のある 措置として許容される余地もあると考えられます。 したがって、ワクチンを打っていないことを理 由に従業員を異動させる場合、就業規則に配置転 換を命じることができる旨の規定が定められてい るかを確認すると共に、必要性や合理性をきちん と検証して説明できるようにしておくことが望ま しいでしょう。また、配置転換後の労働条件が、 従業員にとって不利益とならないかという点につ いても留意されるべきでしょう。 以 上 ( ※本記事 の 内容 は、2021 年 8 月末時点 のものです) 去 る9 月 13 日 ( 月 ) 障害者雇用 の 拡大及 び 特別支援学校卒業生 の 雇用確保 について、 兵庫県副知事 荒木 一聡様 、 兵庫県教育委員会教育長 西上 三鶴様 、 兵庫労働局職業安定部長 藤井 剛様 が 来訪 され、 障害 のある 方 が 一人 でも 多 く 就職 で きるよう、 要請 を 受 けました。 三原会長 は「 障害者雇用 の 数値目標達成 にとどまらず、 一歩進 んだ 取 り 組 みを 会員 企業 に 働 きかけていきたい」と 応 じました。 またジョブコーチや 技能検定 が 有益 である ことから、 各行政機関 へそれらの 充実 を 求 めました。 障害者雇用の拡大及び特別支援学校卒業生の雇用確保について 9 兵庫経協 2021 年秋号

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