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人材育成・雇用促進
同一労働同一賃金への対応  ~労使協定方式による派遣契約の注意点について~
平成30年6月に働き方改革関連法が成立し、その後、関連する法律が順次施行され同一労働同一賃金に関する法律改正の中で改正労働者派遣法が令和2年4月1日に施行されることはご承知の通りです。
この改正法は大企業・中小企業の別なく一斉に適用されますので、中小企業主にとっては大企業の対応を様子見する時間的な猶予はなくなっています。
今回の改正により、派遣労働者の不合理な待遇差を解消するために「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のいずれかの方式により派遣労働者の待遇を確保することが義務化されました。
派遣先事業主にとっては、派遣労働者と比較対象となる自社の通常の労働者の具体的な待遇情報を提供しなければならない「派遣先均等・均衡方式」に抵抗感を感じる向きも多いため、多くの場合、派遣元での通常の労働者と派遣労働者の待遇確保を行う「労使協定方式」を採用するケースが多いと思われます。
そこで、今回は「労使協定方式」に絞って、派遣先事業主として注意しておかなければならない点について解説してみたいと思います。
 
今回の改正概要(厚労省作成資料) https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf 
 
 
<労使協定方式とは>
派遣元は労働者派遣法の規則第25条の9に定められた方法で賃金の決定及び労使協定を行い、その協定を基に派遣先との派遣契約締結交渉を行う方式。
 
◆労使協定方式における点検・検討手順(厚労省作成資料) https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501270.pdf
 
 
<派遣先企業における注意点>
①派遣元が「労使協定方式」に対応可能か確認。(法第30条の4第2項・施行規則25条の11)
 
②派遣契約の締結にあたっては、派遣労働者の賃金が一般労働者の賃金額と同等以上の額になるものでなければならない。(法第30条の4)
・労使協定の対象となる派遣労働者の賃金には、基本給、手当、賞与(特別給与)、退職金、通勤手当が含まれため、これまでの派遣料金よりも増額する可能性があります。
・「局長通達」をご確認の上、対応をお願いします。(事項「参考情報」参照)
 
③契約交渉の場において派遣先は派遣元が提示する金額に配慮しなければならない。(法第26条第11項)
・契約の締結時や更新時のみだけでなく、更新後の配慮も必要。
・派遣労働者の就業実態や労働市場等の状況、当該派遣労働者の責任や技術水準に配慮。
・派遣先が派遣料金の交渉に一切応じない場合や派遣元事業主が法第30条の3又は法第30条の4第1項に基づく賃金を確保するために必要な額を派遣先に提示した上で派遣料金の交渉を行ったにもかかわらず派遣料金が当該額を下回る場合には配慮義務を尽くしたとは解されず指導の対象となり得る。
 
④労使協定方式であっても教育訓練(改正派遣法40条2項)と福利厚生施設(同条3項)については、均等待遇が求められるため、派遣元とよく相談の上、待遇確保に協力することが求められています。(法第26条第7項・第10項)
 
⑤派遣元での労使協定方式が従業員代表の選出が不適切等により無効とされた場合、「派遣先均等・均衡方式」に移行することになります。派遣先としては、派遣元での労使協定が適切に行われていることを確認するなど、信用のある、しっかりした派遣元を選んでいるかが重要になります。
 
 
<参考情報>
これまでの派遣料金よりも増額される場合があります。
その理由となる派遣元が派遣労働者の賃金を算出する際の根拠、考え方を記載しますので参考にしてください。
なお、下記内容は令和2年度適用分です。年度ごとに変更されますのでご注意ください。
 
派遣元が賃金算出の際の根拠とする「局長通達」の確認
 
通達に付随する資料(令和2年度適用分)
https://www.mhlw.go.jp/content/000526706.pdf ←賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金
 
https://www.mhlw.go.jp/content/000526707.pdf ←職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額
https://www.mhlw.go.jp/content/000526708.pdf ←職業安定業務統計による地域指数
 
◇一般賃金の考え方
一般賃金の額については「派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む地域において派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者であって、当該派遣労働者と同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金の額とする。」と定められており、「通達に付随」する上記3資料から算出する。(通達で示す統計以外を用いる方法もあり)
 
◇通勤手当の考え方
実費支給している場合は問題ないが、上限額を設けている場合は、協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間当たりに換算した額(1か月の上限を1か月あたりの所定内労働時間の平均で割った額)が「72 円」未満の場合や未支給の場合は「72 円」とする。
 
◇退職金の考え方
国が示した https://www.mhlw.go.jp/content/000526709.pdf と比較して同等以上の制度運用を行うか、一般基本給・賞与等に「6%」を乗じた額を一般退職金とする。または中小企業退職金共済制度等に加入する。
 
以上
兵庫県経営者協会

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